だいぶ前、宮本輝さんの小説について書いたが、僕がもう1人
好きな作家に沢木耕太郎さんがいる。
沢木さんと言えば、なんといっても"深夜特急"シリーズですね。
旅行好きの方なら一度はハマった記憶があるのではないでしょうか?
僕もそのご多分にもれず、バックパック旅行してた頃、"深夜特急"
を読んでは、次の旅行の候補地を決めていたものです。
でも、沢木耕太郎さんの魅力は、紀行文のみにあらず。
本業はドキュメンタリー小説です。その圧倒的な取材量に裏付けられた
事実を、稀代の文章力によって、豊かな物語に変えてしまう。
そして沢木さんが一貫してこだわられていること、それは常に日の当たる
「勝者」について書くのではなく「敗者」にスポットを当てるという
視点です。
今回は、そんな中から「無名(2003)」をご紹介したいと思います。
この私小説における"無名"な人物とは、沢木さんのお父様。
一合の酒と一冊の本があれば、それが最高の贅沢。
そんな父が、ある夏の終わりに脳の出血のため入院した。
混濁してゆく意識、肺炎の併発、抗生物質の投与、そして在宅看護。
病床の父を見守りながら、息子は無数の記憶を掘り起こし、
その無名の人生の軌跡を辿る。(幻冬舎 書籍紹介より)
そして、息子はそれまで親父について知らなかった"あること"を知ります。
それは、親父が人知れず俳句を書き綴っていたということ。
息子は、父が生きている間にその句集を作ろうと決意します。
果たして、その句集は父が生きている間に届けられるのだろうか。。。
という私小説(だったような。。。)
沢木さんは、句集を作る過程で父に関する無数の記憶を思い出し、
そして気付きます。
この無名の人の"凄み"を。
何も目立つことのなかった父が、粛々と生きぬいてきたという"凄さ"を。
同時に、それ程関わりが強かったと思わない父から、至極普通の中年と
思っていた父から、多大な影響を受けていたということについても
気付かされます。
自分の文体が、父親のそれにとても似かよっているということを
知るのです。
意識的にか無意識にか、はたまた先天的にか後天的にか、父の"さが"
や"業"は息子へと引き継がれ。。。
現在の極端な経済主義社会おいては、金銭的に成功しなければ、
もしくは有名にでもなれなければ、立派な人間だと思われないような
そんな社会的風潮があるように感じます。
そんな中、ごく普通にまっとうに生きる"無名"の生き様に焦点が
あてられた作品です。
そして切っても切ることの出来ない親子の繋がり。血脈。父親の背中。。。
ごくごく普通の公務員をしている僕としては、感じるところが大きいわけ
でありますなぁ。


2 件のコメント:
まいど、たいせーです。
沢木さんの「深夜特急」は、僕も影響を受けて旅行に行きましたな~マレー鉄道とか乗ったりして。。。楽しかったし、若かったな~。
ちなみに、8月に長期で休みが取れたので、久々にバックパックでタイに行ってまいりました!
本当は夫婦でアメリカ訪問も考えてたんですが、燃料費も高いし嫁は忙しいしってことで、嫁とは北海道旅行にして、個人でノンビリしてまいりました。ノンビリしすぎて暇に感じる時もあったけど、久々に若い頃に戻った気分やったよ。
9月から、新しい会社で働き始めました。まだ一週間で何ともようわからんけど、とりあえずいい人ばかりで一安心ですわ。神戸ってホント人が少なくてええ感じや。
では、また
たいせー
タイ好きやな~っ。
タイに行ったという話は奥さん経由で聞いてました。
会社、いいスタートがきれたようでなによりです。周りにいい人が多いって大事やもんな。慣れるまでは大変だと思いますが頑張れ~。
神戸は、あと風が吹くからか、大阪都心の殺人的な暑さに比べたら、まだマシと思わん?
コメントを投稿